2023.1.5 琉球城めぐりと大東島の旅 【3日目】

今年の正月旅は、一人旅では初となる沖縄へ。

6泊7日の行程で、以前から行きたかった日本100名城のお城めぐりと、到達難易度の高い離島、北大東島南大東島へ向かいました。

3日目は前日に上陸した、北大東島を巡る旅。

f:id:suzumetravel:20230122153925j:image

沖縄県最東端・北大東島の真ん中あたりにある、北大東総合運動公園にて朝を迎えました。旅費圧縮のための野宿でしたが、まっ平らな島だけあって夜中から風が強くなり、予想以上に寒くあまり休めませんでした。
f:id:suzumetravel:20230122153922j:image

朝ごはん。前夜ハコクロオーナーさんから差し入れのメロンパンとかるかん。非常食も兼ねて、カロリーのある甘い物は那覇から多めに持ち込みました。

f:id:suzumetravel:20230122154017j:image

上陸した時からヒヨドリが沢山いるなと思っていましたが、本州で見かけるヒヨドリと違って、ダイトウヒヨドリという亜種が生息しているそうです。
f:id:suzumetravel:20230122153954j:image

まずは島の博物館、うふあがり人と自然のミュージアムへ。ホールもあり、島で一番大きな公共施設です。

島の成り立ちから現在に至るまでの歴史が詳しく展示されていて、開館後すぐ見始めましたが、じっくり読んでいると2時間ほどかかりました。島についての文献資料も読めます。
f:id:suzumetravel:20230122153907j:image

北大東島は、海底火山が隆起し火山島として誕生、その後山頂にサンゴ礁が成長、堆積することでサンゴ礁の島となりました。
f:id:suzumetravel:20230122153942j:image

北大東島南大東島の立体模型。サンゴ礁で出来た島の特徴として、島の周囲が中央部よりやや高くなっている、すり鉢状の地形です。f:id:suzumetravel:20230122154001j:image

島の隠れた名物・インガンダルマバラムツとも呼ばれる魚ですが、身は油分が豊富で食べると消化出来ずに出口から油が出てきてしまうそうです。そのため販売は禁止されています。
f:id:suzumetravel:20230122153932j:image

島の観光マップ。ご飯茶碗を横から見たような形をしています。

見学後はもうお昼の時間なので、近くのレストランはまゆうへ。

f:id:suzumetravel:20230122155408j:image

大盛りのじゃが麺。じゃがいもで作った、じゃが麺は島の特産品で、モチモチしていて美味しいです。

午後は燐鉱山遺跡と港湾事務所がある西港へ向かいました。
f:id:suzumetravel:20230122153916j:image

はまゆう荘の背後の山が、島の最高峰の黄金山(標高74m)で、山頂に北大東島灯台がそびえます。
f:id:suzumetravel:20230122154031j:image

灯台から下りる道、さとうきび畑の向こうに見える青い海が印象的です。
f:id:suzumetravel:20230122154027j:image

西港の北大東村港湾事務所に来ました。北大東・南大東島那覇を結ぶフェリーだいとうの切符は、ここで購入します。週1便かつ海上シケによる欠航も多い航路ですが、運良く好天が続き乗船出来そうです。

前日に電話で、北大東→南大東→那覇の経路で1/6の船を予約しましたが、買えるのは北大東→南大東の切符のみで、南大東→那覇分は南大東島で買うことになります。島間の運賃は870円でした。

注意したいのは、北大東島には北・西・南(江崎)港の3つの港があって、風向きによって使う港が変わるということ。ただ、冬は北風なので北港を使うことはほぼ無く、西港か南の江崎港だろうとのお話でした。

島の防災無線放送でも船の出航情報が流れるそうですが、歩いて移動するなら早い方が良いからと、朝7時にどの港から出るか電話していただけることになりました。

f:id:suzumetravel:20230213203822j:image

これがフェリーだいとうの乗船券。旅程を組んだ時から、フェリーが出航延期や欠航にならないかが一番気掛かりでした。出航がほぼ確実(この日の17時に那覇を出て、翌朝北大東に着く)になり、本当に安心しました。

ただフェリーが来なくとも、飛行機は毎日那覇へ飛んでいるので帰ることはできます。でも船に乗るのは一大イベント(この後分かります)ですし、何より安く宿代わりになるのが魅力的です。

f:id:suzumetravel:20230122153948j:image

港湾事務所の金比羅神社にお参りしました。沖縄角力の土俵があります。お供えされていたのは、島の特産品「ぽてちゅう」、じゃがいも焼酎です。
f:id:suzumetravel:20230122154021j:image

ここからは西港地区周辺に残される、北大東島が燐鉱山として栄えた時代の遺跡を巡ります。日本では数少ない燐鉱山で、化学肥料になるリン鉱石を産出していました。写真は公衆浴場跡、右側は天水(雨水)を貯める円形のタンクです。今では海水を濾過した上水道が整備されていますが、当時は真水も貴重でした。
f:id:suzumetravel:20230122153919j:image

こちらも西港よりやや内陸にある公衆浴場跡。周りはさとうきび畑ですが、かつては街で家屋が並んでいたことでしょう。
f:id:suzumetravel:20230122153951j:image

2つある浴槽、男女真ん中で仕切られていたようです。壁には脱衣所に棚が付けられていた跡もあります。浴場の後ろには雨水タンクと、集水のための斜面がありました。

f:id:suzumetravel:20230122153913j:image

こちらは発電所跡。機械類も朽ちるまま残っているようです。

f:id:suzumetravel:20230122154010j:image

これらの燐鉱山遺跡は、2017年に国の史跡に指定されました。離島という特殊な環境ゆえ、自然になり行くまま当時の雰囲気が残っていて、とても貴重な歴史遺産と感じます。
f:id:suzumetravel:20230122154034j:image

リン鉱石を乾燥させていた大型ドライヤー。

後ろに崩落してしまったレンガ塊が見えます。
f:id:suzumetravel:20230122154024j:image

大型ドライヤーに繋がる貯蔵庫。トンネル内ではトロッコリン鉱石を運んでいました。トンネルが破壊されているのは、第二次世界大戦後、アメリカの統治下での操業時に積み出しの手法が変わったため。またそれまでリン鉱石を手作業で選別していたところ、機械での選別に変えた結果、品質が低下し、1950年に閉山の日を迎えました。
f:id:suzumetravel:20230122153935j:image

この断崖絶壁に何とか桟橋を造り、リン鉱石を出荷していました。写真に写っていない手前に、当時の急斜面があります。
f:id:suzumetravel:20230122153938j:image

正面から見た貯蔵庫。史跡指定された現在では、崩落した部分は復元され、裏側には補強の骨組が入っています。
f:id:suzumetravel:20230122154007j:image

港の急斜面の延長線上にある、船の巻き上げ機と思われる機械。歯車は朽ちて完全に動かなくなっています。台座には設置年月であろう日付が刻まれていました。

これらの遺跡はそれぞれ案内板があり、QRコードを読み取ると詳しい歴史が説明されています。実物を前にして読んでいくと、当時の人の姿が目に浮かぶようでした。
f:id:suzumetravel:20230122154004j:image

上陸公園で、北大東島に初めて人が上陸した岩場へ下りました。断崖絶壁の島は波打ち際でも岩ばかりで、唯一ここなら上陸出来そう、という岩場でした。向かいには南大東島の姿。
f:id:suzumetravel:20230122154014j:image

上陸公園から眺める夕日。心なしか波も穏やかに見え、漁船が波に揺られていました。
f:id:suzumetravel:20230122153903j:image

サトウキビ畑を通って、中心部に戻る時に見かけた島猫。
f:id:suzumetravel:20230122153957j:image

レストランはまゆうで、この日もゲストハウス・函館クロスロードのオーナーさんと晩ごはん。函館クロスロード繋がりで、北大東を訪れている旅人の方も合流、島巡りのお話も聞けて面白かったです。

函館クロスロードはラッキーピエロも近くオススメのお宿。僕は今までで3回訪問し、7泊お世話になっています。オーナーが北大東にいる冬シーズン以外は営業されています。

はまゆうでは2日で3食お世話になりましたが、大東寿司、ちゃんぷるー、スーチカーにイカフライ、じゃが麺とどれも美味しかったです。中でも一番気に入ったのは、豚の塩漬け・スーチカーでした。
f:id:suzumetravel:20230122153910j:image

はまゆう荘の入口から、昼に訪れた灯台の灯りが見えました。
f:id:suzumetravel:20230122153945j:image

ハコクロオーナーさんから、セイコーマートブランドのトマト酎ハイを差し入れいただきました。北海道から送ってきた物で、ここではかなりの貴重品。そして島の商店で何故か売られていたことがあったそうですが、セイコマ価格の倍はしたとのこと。

この日も同じく総合運動公園にお邪魔して夜明かし。風対策で建物の壁の間に挟まれて寝ました。

 

(3日目おわり)

(4日目へつづく)